診察症例:ミニチュア・ダックスフント 3カ月 メス アレルギー
主訴は「シャンプーしてもずっと痒がっている」との事でした。
来院時には腹部と後肢踵部の発赤があり、ウッド灯での皮膚糸状菌検査や顕微鏡検査を行いました。
ウッド灯の反応は無く、顕微鏡検査では球菌が確認されたため、細菌性と判断し、抗生剤とステロイドを1週間服用して頂きました。
球菌は減少し、痒みを無いとのことで一旦休薬し、治療終了としました。
ですが、その2日後に全身の痒みの再発のため来院されました。
初診時よりも全身を痒がっているのは明らかでしたが、顕微鏡検査には細菌はあまり確認出来ませんでした。
またこの痒みの度合いを詳しく伺うと、夜は全身が痒そうで、昼は部位がバラバラで痒い時があるという事でした。
時間で痒い場所が異なるという稟告から、アレルギー検査をご提案しました。
通常の40項目のアレルギー検査では無く、「今後の長い生活を考え、沢山項目がある検査をしたい」と飼い主様からの希望があり、92項目のアレルギー検査を行いました。
その後、検査結果が出るまでは、ステロイドで痒みのコントロールを行いました。
検査結果では草・雑草など様々なモノに陽性反応を示しました。
食物に関しては鶏系・大豆・米系・カツオなど、犬のフードによく使用されている食物にアレルギー反応を示しました。
中でも購入時から食べていたフードが鶏肉とライスを主とするモノだったので、夜の全身の痒みは食事に対する反応で昼の痒みは散歩中の草に対する反応だった事が判明しました。
その後はアレルギー食に変更し、痒み減少し、経過は良好でした。
今回の「アレルギー」の診断に至るまでに、除外診断を繰り返しながら飼い主様にもご協力を頂きました。
近年、食物などにアレルギー反応を示す動物は増えていて、犬では約4割が何らかのアレルギーを持っていると言われています。
アレルギーが増えた理由はストレスや環境要因、遺伝など様々な事がいわれていますが、全てが判明されているわけではありません。
ですが、アレルギーの場合は陽性要因を取り除くことにより劇的に改善する事もあります。
だからこそ治療の結果が得られない場合は、アレルギー検査など一歩踏み込んだ検査をご理解頂きたいと思います。