手術症例:ウェルシュ・コーギー 14歳♀ 試験開腹 診断的開腹
主訴は「昨日より急に元気と食欲が無くなった」との事でした。
以前より体表のmassなどで何度か当院で手術を行い経過を見ていましたが、可視粘膜も白く、確実にいつもと印象が違う様子でした。
心音などもしっかりしており、血圧も248/135といつもと変化がない状況でしたが、歯茎の白さからどこからか出血している事を疑い、エコー検査を提案させて頂きました。
エコー所見より腹腔内に液体が貯留していることとmassが確認出来たことから、輸血を行いながらの診断的開腹術を行いました。
画像のような血餅が多く、腹腔内で出血していることは明らかでした。
脾臓摘出の術歴があったことから、肝臓での出血を疑い調べていきました。
精査していくと、肝臓全葉にびまん性に腫瘍があり、様々な部分が脆くなっており、出血部位を特定することは出来ませんでした。
全ての腫瘍を取り除く事は肝臓を全て摘出するという事になってしまうので、年齢と麻酔時間とモニターの変動により、今回は腹腔内洗浄をし、閉腹しました。
その後はご自宅にて経過を観察して頂きました。
動物達を助けたい思いは沢山ありますが、助けられない場合もあります。
飼い主様に厳しい病気の現状を報告し、その内容をご理解して頂いた事は本当にツライ事だったのではないかと思います。
今回のような診断的開腹ではなく、摘出し元気に退院してもらえるように日々勉強していきたいと思います。