診察症例:イヌ(雑種) 13歳 オス クッシング症候群 副腎皮質機能亢進症|下野市・小山市の動物病院|二次診療・夜間救急対応のちょう動物病院

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院長の症例紹介

診察症例:イヌ(雑種) 13歳 オス クッシング症候群 副腎皮質機能亢進症

主訴は「数日前から歩いている時にフラついたり、震えている」との事でした。

 

後肢の震えは来院時にも確認しましたが、後肢に痛みなどはありませんでした。

また飼い主様より「食事は変わらないが、水をよく飲むようになったかもしれない」と伺ったので、血液検査を行いました。

 

 初診時の血液検査

 

 

血液検査の結果は肝酵素であるGPT、ALP、GGTが高く、血糖値は600㎎/dl異常でした。

 

検査結果より「糖尿病」と「肝臓障害」と診断し、インスリン量を決めるために1日入院して血糖値を2時間おきに測定し、血糖値のコントロールを開始し、肝臓薬の処方を行いました。

ですが初診より10日後に血液検査のため来院されましたが、空腹時血糖の下がりが悪いためACTH刺激試験(副腎皮質刺激ホルモン検査)をご提案しました。

 

 

副腎の超音波検査画像

 

また超音波検査で確認したところ両側の副腎の腫大を確認しました。

この結果により、さらにクッシング症候群を疑いが強まりました。

 

ACTH刺激試験とは脳の下垂体から出る副腎皮質刺激ホルモンを薬剤によって放出させ、副腎に人工的に刺激を与えてコルチゾールを生成させる検査です。

そしてそのコルチゾールというホルモンは血糖値を調節するためにとても重要な働きをしています。

 

 検査結果

 

Preは薬剤投与前、Postは薬剤投与後を示します。

今回の検査結果ではPost時にコルチゾールが多量に放出されている事により「クッシング症候群」と診断しました。

 

今回、「クッシング症候群」を発症した原因の追求は高齢のため希望されませんでしたが、主に腫瘍や薬剤など理由は原因は様々です。

ですが薬なども予防薬以外ほとんど服用していた事は無く元気に過ごしていたという事から、下垂体か副腎の腫瘍の可能性をお伝えしました。

 

その後はアドレスタンという治療薬を内服継続して頂き、一旦は元気になりましたが、腎不全なども併発し、診断後1年程で亡くなりました。

 

「クッシング症候群」は別名を副腎皮質機能亢進症と言います。

内分泌系の疾患は動物の生活の微妙な変化から始まるため、飼い主様には「元気が少し無い」、「飲水が多い」、「夜寝なくなった」などといった事が主訴として多いです。

そしてこの疾患は血糖値や内服の管理などを行い、金銭的にもご負担頂く事が多いため飼い主様のご協力が絶対不可欠になってきます。

今回ご紹介したコの飼い主様にも沢山のご協力をして頂いたので、高齢犬でしたが長く頑張ってくれたと思います。

 

 

 

 

 

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