手術症例:ペルシャ 5歳 オス 眼球突出 眼球摘出
主訴は「2週間前より右眼が膨らんできて破裂した」との事でした。
右眼腫大が何故生じたのかは飼い主様も不明という事でしたが、時間の経過と共に眼房水(眼の栄養となる液体)も出てしまい視力を回復する可能性は低い事をお伝えしました。
最初は手術を希望されず、内服や眼球保護のご提案もしましたが、自宅での管理は困難という事で、点滴や注射のために来院して頂きました。
3日後に眼球突出が悪化した事と皮膚色も悪い事から、眼球摘出手術を希望され、手術を行いました。
摘出前
摘出部位は蓄膿があり、洗浄を入念に行いました。
縫合後
摘出後にはインプラントを挿入し、手術を終了しました。
入院中は感染予防のため抗生剤や点滴の投薬を行い経過観察をし、経過良好な事から術後3日目に退院し、以後内服にて感染のコントロールを行う事になりました。
ですが術後3カ月後に「赤い液体が出てくる」との事で再度受診されました。
退院後、エリザベスカラーを外してしまい、経過観察に1度もご来院頂けなかったため感染を起こしていました。
そのため再度手術を行いました。
定期的に受診する事は困難という事だったので、今回は右眼のインプラントを摘出し、洗浄を何度も行い縫合しました。
2度目の手術は当日に退院し、抗生剤を内服し、排膿状態を確認しながら1か月間は定期的に通って頂き、治療を終了としました。
今回のインプラントや義眼、骨折時などの金属プレートなどは体内に存在しない物質のため拒絶反応が出てしまう事があるため、定期的な経過観察が必要になります。
時折、「手術が終われば全て治療は終了した」と考えて経過観察に来られない方もいますが、特に異物を挿入している手術に関しては経過観察をする事で反応してしまっても早期に対応が可能なため非常に重要になってきます。
飼い主様もご事情は様々あるかとは思いますが、経過観察にはご理解を頂きたいと思います。