手術症例:ヨークシャーテリア 6歳 メス 悪性乳腺腫瘍
主訴は「トリミングで乳腺のしこりを指摘された」との事でした。
いつものトリミング室でカットを行う場合に日頃の変化を指摘されることはよくあることです。
軽度な症状もありますが、重度の疾患が見つかることもあります。
今回の症例でも3カ月ほど前には無かった乳腺のしこりをトリマーさんがカット中に発見し、他院受診後にセカンドオピニオンとして当院に来院されました。
写真でも見て分かるように、小さくて見過ごしてしまいそうな腫瘤です。
目視だけでは良悪の診断は出来ませんので、乳腺のしこりの再発予防の意味で避妊と乳腺腫瘤切除をご提案し、当院で希望されたので手術を行いました。
大きさはΦ5mm以下と小さな腫瘤でしたが、腫瘤部以外の部分の浸潤を確認するためマージン(余白)を考え、2㎝程切除を行い、病理組織検査に提出しました。
その後の麻酔覚醒などは順調だったため、翌日には退院しました。
後日の病理組織検査の結果は「悪性乳腺腫瘍」でした。
またマージンも余裕をもって切除を行いましたが、全ての部分に異型性細胞(癌細胞)が分布しており、他の臓器にも転移の可能性があるとの事でした。
この結果から飼い主様とお話しさせて頂き、手術や抗がん剤治療などはせずにQOLを維持するような処置を今後行う事を希望されたため、経過観察としました。
今回の症例では小さなしこりを発見してから手術を行い検査結果が出るまで2カ月足らずの出来事でした。
飼い主様に今後の治療などのご希望を聞いてそのサポートをさせて頂きましたが、6歳という若さや飼い主様がとても可愛がっていた姿を考えると、出来る事なら治してあげたかったという気持ちが強かったです。