内視鏡症例:ネコ(Mixed) 1歳 オス バイオプシー 胃炎
主訴は「最近、嘔吐が多くなった」との事でした。
来院時は元気や食欲はいつも通りで、誤食の可能性も低いとの稟告があったので胃腸炎などの内服で経過観察としました。
その後2ヶ月経過し、嘔吐が頻回になり症状が進行していることから血液検査とエコー検査などを実施しました。
血液検査に関しては白血球のみが上昇していましたが、その他に以上は見られませんでした。
ですが、エコー検査では胃内に正常では映らない何かがあったので、そのため内視鏡をご提案しました。
内視鏡画像
胃内には異物はありませんでしたが、大弯側に潰瘍病変が何カ所も点在していたため、バイオプシー(生検)を行う事を承諾して頂きました。
「大弯」は胃の中で一番大きく膨らんでいる部分です。
この部分異なる部位6ヶ所からバイオプシーを行いました。
その後は麻酔覚醒は順調だったため、翌日退院し、ご自宅で嘔吐を防ぐための内服をして頂いて、結果が分かり次第、的確な治療をするご提案をしました。
検体提出より3日後の病理検査は「重度の胃炎」との結果でした。
胃内では出血や軽度の線維増生があり、胃の炎症は正常範囲を逸脱しているほどのものでした。
この結果より、当院で絶飲食と点滴入院をする事になり、4日後には通常の食生活に戻り、嘔吐も無く退院しました。
現在も症状は再発していません。
今回は2ヶ月間を嘔吐症状が改善と再発を繰り返していた事とエコーでの異常所見から内視鏡をご提案致しました。
消化器症状の場合は本当の消化器疾患の他にもストレスなどでも症状が現れることがあり、診断を迷う時も正直あります。
内科的治療でも改善されずに経過が長い場合は、その動物のためにも一歩踏み込んだ検査をご提案する事がありますので、皆様にご理解頂きたいと思います。