手術症例:ミニチュア・ダックスフンド 11歳 メス 歯周病 悪性黒色腫 メラノーマ
主訴は「歯周病がひどく、下唇にはデキモノが出来て大きくなってきている」との事でした。
左下顎口唇の腫瘤が2ヶ所ありました。
以前違う場所での乳腺腫瘤摘出を行っており転移の可能性は低いと考えましたが、歯周病が重度だったため歯科処置を含めての口唇腫瘤摘出をご提案しました。
処置前
歯も全体的に動揺があり、鼻孔から出血もしていました。
その様な状態だったため、抜歯部位や動揺の確認などを時間をかけて行いました。
処置後
今回は4本の抜歯と歯肉炎レーザー処置、そして腫瘤切除を行い、手術は終了しました。
今回の摘出した腫瘤は全て病理検査に出しました。
後日、結果は「悪性黒色腫」でした。
一般的には「メラノーマ」という名で知っている方も多いのでは無いでしょうか?皮膚癌の一種としても有名です。
今回の病理検査内容としては、多くの腫瘍性増殖が確認され、リンパ節などの転移の可能性もあるということでした。
以前、3年前に当院で行った乳腺腫瘤摘出では「良性」だったため、今回の結果は私や飼い主様にとって予想してなかった結果でした。
この悪性黒色腫という結果で下顎自体を切除したり、抗がん剤や放射線治療などの選択肢はありましたが、年齢も考慮して在宅療法を希望されたため、その後はストレスが無いようにと自宅にて診て頂きました。
悪性黒色腫は癌の中でも特に根治が難しい癌です。
一緒に暮らしている動物が完治が難しい病気になったときに結果を伝える側も心苦しいですが、それ以上に家族の方は大きなショックを感じていると思っています。
どの治療の選択をしても家族の方が「正解だった」と思って頂けるように、私も出来る限りサポートをしたいと考えています。