手術症例:ネザーランド・ドワーフ 1歳 メス 半導体レーザー 腫瘤切除 基底細胞癌
主訴は「右顎にデキモノがある」との事でした。
本人も気にしておらず、食事も通常通りとの事だったので、2週間の内服処方で経過を観察しました。
内服終了後、ポリープの大きさに変化はあまり見られなかったため、時間がかかっても体に負担が少ないレーザー治療か手術を行い切除するかを考えて頂き、レーザー治療を行う事になりました。
半導体レーザーでの切除は少しずつ進行させていくため切除まで時間はかかりますが、無麻酔で痛みもないため敏感な動物や高齢の動物にもよく使用します。
切除と簡単に言っていますが、焼き切るイメージです。
今回の症例も体に負担が無いように2週間毎にレーザー治療を行い、4ヶ月後には全て切除が出来ました。
この4ヶ月の間にも腫瘤の増大は認められませんでした。
ですが、1ヶ月後に再発。
本人は気にしていないとの事でしたが、再発が早く、前回よりも腫大していた事から、今度は外科的に切除する事をご提案しました。
術後、口元の抜糸は困難と判断し、吸収糸で縫合を行っています。
また今回も腫瘤切除後は、病理検査を行いました。
病理検査の結果は「基底細胞癌」でした。
形態学的な悪性度は低いとは言われていますが、悪性に分類されるものです。
転移を起こす事も稀とはされていますが、転移に関しては再発や経過観察をする必要があることもお伝えしました。
吸収糸は残っていますが、経過は良好で、今回の治療は終了致しました。
体に負担が少なく完治出来るなら一番良い事ですが、効果が期待できない場合もあります。
家で暮らしているウサギの場合は体も小さく、当院では犬と比べても麻酔のかけ方は違います。
様々な心配や疑問もあるとは思いますが、治療に効果が無い場合にはやはり手術に関してもご理解頂きたいと思います。