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院長の症例紹介

診察症例:柴 2カ月 メス パルボウイルス 感染症

院長の症例紹介 2016年12月17日

主訴は「昨日より下痢が続いている」との事でした。

 

家に来てまだ2日という事で、環境の変化や寄生虫での下痢の可能性を考え便検査を行いました。

 

便検査画像

 

便検査ではジアルジアを確認したため、寄生虫感染による下痢と診断し、駆虫薬と胃腸薬・下痢止めなどの内服を処方しました。

 

ジアルジアは主に糞便などで感染するため、多頭環境では免疫力の弱い高齢犬や仔犬に感染する事が多く報告されています。

またジアルジア症の症状として食欲不振・腹痛・嘔吐などがあるため、今回の症例も「ジアルジア症」と考え治療を開始しました。

 

ですが翌日、嘔吐が頻回になり来院されました。

そして診察中に排泄便が血混じりで「イチゴジャム様」だったので、パルボウイルス感染症の可能性を疑いました。

飼い主様よりワクチンは1回接種していて「パルボウイルス」もワクチン内に入っているとの事でしたが、血液検査も白血球が800μLという非常に低い数値も出たため、検査を承諾して頂きました。

 

 パルボウイルス検査

 

上記の写真は実際の検査結果です。

便を特殊な液体に溶かし、感染の有無を検査します。

検査の結果からパルボウイルス陽性を示したため「パルボウイルス感染症」と診断し、すぐに隔離にて点滴入院が始まりました。

 

「パルボウイルス感染症」は潜伏期間が1週間弱で、発症すると下痢・嘔吐・発熱などの症状が出て、血混じりのイチゴジャム様の便が特徴的です。

「パルボウイルス」には有効な薬剤が無いため、下痢や嘔吐から来る脱水緩和のための点滴入院がメインとなってきます。

幼犬が発症した場合の1週間生存率は極めて低いため、入院中の経過にも注意が必要です。

そして何より感染力が強いため隔離室での看護を行い、他の動物との接点無いようにしないといけません。

感染した犬を看護した後に手などを未消毒のまま他の犬と接するだけでも感染の危険性があるため、当院では必ず担当者を決め、使い捨てエプロンと手袋、マスク、帽子など完全防備で看護を行い、一回の看護で全てを廃棄しています。

そして他のスタッフが感染をしていない動物の看護を行うと決め、院内感染を防いでいます。

 

ですが、今回の症例も発症発覚2日後に亡くなりました。

発症発覚初日に飼い主様には「パルボウイルス感染症」の経過は良くない事はお話しさせて頂いていましたが、家に来て4日後に亡くなってしまい、大変残念に思いました。

 

今回の症例では購入先での感染が疑われました。

こんな悲しい結果を生まないためにも、ブリーダーさんやショップさんは幼動物達が新しい家族に迎え入れられた後に家族と楽しい時間を長く過ごせるためにも、清潔で適切な生活環境で育てて欲しいと強く感じます。

そして何より飼い主様達も動物たちの事を思うなら、ワクチンの接種は忘れないで頂きたいと思います。

 

 

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