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院長の症例紹介

診察症例:ネコ(雑種) 3歳 オス 高カリウム血症 急性腎不全 尿路閉塞 細菌性膀胱炎 結石症

主訴は「3日前よりトイレに長く入っているが、尿が出ていない」との事でした。

 

食欲や元気はあり排尿以外はいつも変わりないとの事でしたが、3日前より頻回に陰部も舐めていたため、ペニスは鬱血していました。

 

 膀胱の超音波検査画像

 

超音波検査では膀胱内はモヤモヤしており、膀胱の肥厚と小さな結石を確認しました。

 

尿路閉塞の可能性が高いですが、食欲などはまだあったため細菌性膀胱炎の内服のみを飼い主様が希望されたため、内服処方のみで帰宅されました。

 

ですが翌日食事後に嘔吐が頻回になり来院されました。

血液検査を行うと、腎臓を示すBUN、CREは測定不能なほど高値で、カリウムも7.3mEq/lで、尿路閉塞による急性腎不全も併発していました。

 

 心電図波形

 

高カリウムなため心電図を確認すると、心拍は50台まで低下しており、テントT波も出現していました。

 

カリウムは特に細胞内に多く含まれていて、体には必要不可欠なミネラルです。

ですがカリウムが高くなりすぎてしまうと、嘔吐などの消化器症状を始め、脱力感や神経症状、不整脈などにも繋がります。

最悪の場合は不整脈からの徐脈になり心停止を起こす可能性もあります。

今回のテントT波と徐脈の出現は心停止の1歩手前の大変危険な状態という事です。

 

そのため緊急の導尿処置を行う事になりました。

 

 導尿処置

 

まずはカリウムを下げるために、尿道カテーテルを挿入し尿を出しました。

導尿後、200ml程尿が一気に出たためカリウムは下がり、テントT波と徐脈も改善しました。

その後採取した尿で顕微鏡検査を行いました。

 

 

導尿後の顕微鏡検査

 

顕微鏡検査では主にストラバイトと血球が目立ちました。

pHも9でアルカリ性に傾いていたため、膀胱内にストラバイトが出来やすい環境になり、今回の尿路閉塞に繋がったと考えています。

 

導尿中は点滴入院にて腎不全治療と膀胱炎治療を行い、4日後には血液検査の結果も正常値に戻ったため尿カテーテルを抜去し排尿を確認し、5日後に退院されました。

 

 

1か月後の顕微鏡検査

 

そして抗生剤・止血剤の内服と処方食にて管理をして頂き、1か月後には鮮血反応は若干ありましたがストラバイトも無くなり排尿もスムーズという事で当院での治療は終了しました。

その後半年に1回の定期的な尿検査は行っていますが、経過は良好です。

 

特に冬は猫の尿トラブルが多くなってきます。

飲水量や尿量、トイレ回数など、トラブルが多い時期だからこそしっかり観察し、多くなったり極端に少なくなった場合には動物病院の受診をお勧めします。

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