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院長の症例紹介

診察症例:トイプードル 4歳 メス 高アンモニア血症 肝性脳症

院長の症例紹介 2016年12月10日

主訴は「3カ月前から徐々に食欲や元気が無くなった」との事でした。

 

3カ月前から少しずつ食事を残すことが気になり、食事を残す事が多くなったため当院を受診されました。

今まで健康だったため当院には皮膚の治療のみ来院されていましたので、いつもより元気が無くなったのは明らかでした。

またアンモニア臭が強い口臭が気になりました。

 

そのためまずは血液検査を行いました。

 

 来院時の血液検査

 

血液検査では肝臓の異変を示すGPT、ALP、GOT、GGTは高値で、ビリルビンも軽度に上昇、NH3(アンモニア)も379ug/dlでした。

また3カ月徐々に食欲が無くなっていった事からALBは低値でした。

 

犬のアンモニアの正常値は75ug/dl以下程度ですが、今回の数値は大幅に上昇していました。

アンモニアは体内のタンパク質の代謝によって作られる毒性があるものですが、肝臓によって代謝され無毒化されます。

今回はアンモニアも高い事から肝臓がアンモニアを代謝出来ないほどの障害を起こしていると考え精査しました。

 

 超音波検査画像

 

超音波検査でも腹部に腹水を確認しました。

 

飼い主様がご自宅での管理を希望されたため、肝臓薬やアンモニア産生抑制薬などを処方し経過観察としました。

 

その2日後に「毛布を食べてしまったり、壁にぶつかって行ってしまうなど挙動がおかしい」との事で再来院されました。

来院時にふらつきが顕著なため「肝性脳症」を疑い、現状を確認するため血液検査を行いました。

 

2日後の血液検査

 

肝臓の数値は前回よりも上昇し、アンモニアも上昇していました。

そのため「肝性脳症」による意識障害と診断しました。

 

この状態での自宅管理は困難という事から点滴入院にて管理をする事になりましたが、翌日には腎数値も上昇し、痙攣発作も頻回になり2日後に亡くなりました。

 

今回の「肝性脳症」は、正常であれば肝臓で代謝されるはずの毒物が血液中に溜まり、脳の機能を低下させてしまう病気です。

原因は肝不全などが一般的ですが、まだ4歳という若さから門脈シャントも考えました。

来院からわずか4日で症状が急速に進行し「肝性脳症」を生じたため、肝臓に何が起こったのかの追求するには時間が足りずお話し出来ませんでした。

今回の症例では、健康な時に年に1回の血液検査を行っていたら体調が悪くなるヒントがあったのかもしれないと思いました。

 

 

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