診察症例:フレンチブルドッグ 6歳 メス 薬剤耐性 細菌性皮膚炎 |下野市・小山市の動物病院|二次診療・夜間救急対応のちょう動物病院

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院長の症例紹介

診察症例:フレンチブルドッグ 6歳 メス 薬剤耐性 細菌性皮膚炎 

主訴は「以前から足に痒みがあり抗生剤を飲んでいたが、症状を繰り返している」との事でした。

 

 来院時

 

四肢指間や耳は痒がって、赤く腫れていました。

 

顕微鏡検査で耳垢と指間より多くのマラセチアが検出され、球菌も確認された事で、外耳炎治療と抗菌薬処方を行い、2週間後に再来院での検査をお伝えしました。

 

ですが、その2か月後に「皮膚炎の再発」のため来院されました。

 

 

初診より2か月後来院時

 

2カ月前の皮膚炎は内服中に改善したとの事でご自宅で様子を見られていたという事でしたが、前回と同じ部位に再発していました。

 

 顕微鏡検査

 

顕微鏡検査では球菌が確認されたため、「細菌性皮膚炎」と診断し、抗菌薬の処方を行い、2週間後に再度来院をお願いしました。

ですが、そこから2カ月後に「皮膚炎の再発」で来院され、同症状を繰り返していた事から、抗菌薬を変更し、定期的な受診をお願いしました。

その後の治療でも抗菌薬や痒み止めの効果が出ないため、5カ月もの不定期な内服だったため抗生剤の耐性を疑い、「細菌培養薬剤感受性検査」を行い、抗菌薬を選択していく事になりました。

 

「薬剤感受性検査」は検出された菌に対して、抗菌薬の効果が発揮されるのかを確認するための検査です。

長期間の抗生剤の使用や不定期な使用を行いっていると耐性が出来やすく、抗菌薬の効果が発揮されなくなってしまいます。

そのため、長期の使用などで効果が出ない場合は「薬剤感受性検査」を行い、効果的な抗菌薬を選び直す必要性が出てくることもあります。

 

 今回の薬剤感受性検査結果

 

マイナスは耐性があり効果的では無いという事を示しています。

逆にプラスは効果が期待できるという事です。

 

抗生剤には様々な種類がありますが、今回の症例で使用していた3種類の薬剤全てに耐性が出ていたため、再度内服の変更を行い、2週間毎の来院を再度お願いしました。

 

 

内服変更後1カ月

 

内服変更2週間後は痒みが徐々に減り、1か月後には赤みもなくなったため、今回で治療終了としました。

以後、3カ月経過していますが再発はしていません。

 

今回は不定期な抗菌薬の投与による薬剤耐性の細菌性皮膚炎の症例でした。

皮膚症状の場合は特に症状が改善方向に向かている途中で飼い主様の判断で治療を中断してしまう事がよくあります。

菌が原因の皮膚炎の場合、赤みや痒みが減ったからと言って途中で抗菌薬を辞めてしまえば、残っていた菌が増殖して皮膚炎を再発する事はとても多いです。

そして内服していた抗菌薬で死ななかった菌が増殖してしまえば、再度内服したとしても抗菌薬は無意味になってしまいます。

だからこそ1~2週間毎に肌のターンオーバーや菌の増減の確認をしながら薬剤投与を行う必要性があるため、勝手な判断をする事は動物のためにも止めて頂きたいと思います。

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