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院長の症例紹介

診察症例:イヌ(雑種) 16歳 オス フィラリア症 顔面浮腫 肺高血圧症

院長の症例紹介 2017年06月20日

主訴は「1週間目から顔が腫れてきた」との事でした。

 

1週間の間に徐々に食欲は減退したため、飼い主様は「歯が原因で食べられないのではないか」と考え当院を受診されました。

 

 

来院時(顔面と腹部)

 

来院時、顔面浮腫や腹部膨満が顕著であり、聴診時にLevine 3/6(心雑音の強さを示す)を聴取しました。

このLevine 3/6は簡単に言うと中等度の雑音があるという事です。

 

また飼い主様よりフィラリアが未予防という事を初診表情報で頂いていた事から、フィラリア感染も疑い検査をしていきました。

歯に関しては歯石の付着はありますが食欲を無くす程ではありませんでした。

 

 超音波検査画像

 

腹部膨満の原因は腹水の貯留でした。

 

 

レントゲン画像(胸部と腹部)

 

胸部レントゲンでは心拡大と肺動脈拡張が、腹部レントゲンは腹水貯留のため擦りガラス状陰影を確認しました。

 

そして、血液検査ではBUNのみ若干高値を示し、フィラリア検査は陽性でした。

この結果より顔面浮腫や腹部膨満の原因は、フィラリア感染が原因の循環不全からなる浮腫の可能性が高い事が分かりました。

 

 

超音波画像

 

また後日改めて循環不全の精査のため心機能検査を行いましたが、右房・右室に拡張が認められ、フィラリア感染からなる肺高血圧症である事を確認しました。

その結果より、心臓薬・利尿薬を開始し、腹水の抜去と血液検査を数回に渡り行い、経過を観察しました。

 

 初診から3週間後

 

初診から3週間後には顔や四肢の浮腫は無くなり、腹水量も軽減しました。

 

1年経過した現在ではフィラリア感染は陰性を示していますが、腹水貯留や僧帽弁閉鎖不全症、肺高血圧症があるため継続的に治療・検査を行なっています。

 

 

今回の「フィラリア感染」ですが、腹水貯留や肺高血圧症の併発はよくある症状として知られていますが、顔面浮腫が顕著に出る症例をあまり経験した事が無かったため掲載させて頂きました。

フィラリア感染が昔と比べ少なくなってきたと言われてはいますが、それでも感染している動物達は沢山います。

報告ではフィラリア予防をしている犬は7割、猫に関して言えば5割を下回るのが現状です。

また1カ月飲み忘れて感染してしまう場合もあるからこそ、安易に飼い主様自身で投薬を決めずに地域に合った投薬期間を守って頂きたいと思います。

 

 

 

 

 

6月17~18日に循環器医学会に出席のため休診させて頂き、ご迷惑をおかけしました。

また準備のために症例紹介が遅れてしまいましたが、今後も大学院の研究や学会発表に加えてこちらの症例紹介でも様々な症例を掲載しますのでお付き合い頂きたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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