診察症例:シーズー 3歳 オス 眼球突出 眼圧上昇 ぶどう膜炎 緑内障
主訴は「左眼が赤く腫れて、すごく痛がっている」との事でした。
来院時には結膜充血が重度で眼瞼浮腫もあり眼の精査を行おうとしましたが、本人の疼痛が顕著で眼の精査が困難でした。
飼い主様と相談し、まずは疼痛の緩和と炎症の軽減を目的に鎮痛剤投与とステロイド点眼の処方を行い、翌日再来院して頂きました。
翌日は眼球突出が改善し痛みが軽減したため、眼底や網膜検査や眼圧計測などを行い精査しました。
その結果、前房や硝子体に濁りが生じており「ぶどう膜炎」を発症している事が判明しました。
また眼圧計測では67mmHg(正常値10~25以下)と 高値を示したため「緑内障」も併発していました。
今回はウイルスや感染など何らかが原因で「ぶどう膜炎」を生じ、瞳孔や隅角での房水が阻害されたため「緑内障」が発生したと考えられました。
そのため「ぶどう膜炎」治療には抗生剤点眼を「緑内障」には眼圧の低下を促す点眼(ラタノプロスト)を処方し、1週間経過を観察しました。
まだ眼球突出は若干ありますが、充血は無く本人も気にしていない様でした。
治療から2週間後には眼球突出も改善しましたが、まだ眼圧は高いため、抗生剤点眼は休薬し、ラタノプロストのみ継続して頂く様にお伝えし、現在も再発防止のため経過を観察しています。
症状を放置すれば視力消失の危険性もありますが、今回はそういった事も無く、現在では元気に過ごしています。
時折、「眼を気にしているが、診察を受けた方が良いのか?」というご相談をお電話などで受けますが、受診をして頂き軽度な症状ももちろんありますが、今回のように飼い主様が考えている以上に重い症状の場合もあるため、お話しだけでは診断は出来ません。
もしこういった症状ある場合には、動物病院に早めに受診をして頂く事をお勧めします。