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院長の症例紹介

診察症例:イヌ(雑種) 13歳 オス 心タンポナーデ 心嚢水 大動脈小体腺癌

院長の症例紹介 2016年12月05日

主訴は「散歩に行きたがらず、食事も食べが悪くなった」との事でした。

 

問診後、聴診時に明らかに通常の心音と異なるためレントゲン検査や血液検査などをご提案しました。

 

image 来院時のレントゲン写真

 

肺野は正常で、心臓部分のみ丸く拡大した陰影が特徴的だったので「心タンポナーデ」を疑い、超音波検査を行いました。

 

img_0247 超音波検査画像

 

エコーでも心嚢水が確認されたため「心タンポナーデ」と診断し、すぐに心膜穿刺を行い、心嚢水を50ml抜去をしました。

 

心嚢水はヒトだと10~50mlほど多少は存在していますが、2kgの動物の50mlは命に関わります。

そのためすぐに穿刺を行い、抜去する必要がありました。

 

その後は楽になったのか、元気に帰宅されました。

ですが、その1か月後に「最近咳が増えた」との事で来院されました。

 

image 1か月後のレントゲン写真

 

右肺が白くなり、また心臓の陰影も拡大していました。

心膜穿刺を行い、35ml程の心嚢水を抜去しました。

 

その後も数回にわたり同症状があったため心嚢水を抜去しました。

 

「心タンポナーデ」を繰り返す原因を追究するため、心エコー検査なども行いましたが、心臓内部自体には機能的な問題もなく血液検査でも異常は見られないため、心臓腫瘍の可能性も疑いお伝えしました。

 

最終心嚢水抜去から5カ月経過し、「トリミング中に虚脱した」との事で再度来院されました。

 

img_0249 抜去した心嚢水

 

5カ月前と比べると血液の様な心嚢水が50mlほど抜去出来ました。

 

img_0248 抜去後の超音波画像

 

抜去後の心臓の超音波検査では明らかに心臓の形状が異変を起こしていました。

 

その7日後にご自宅で突然亡くなったため、原因追及と獣医療発展のため飼い主様に心臓と肺の病理解剖をお願いし承諾して頂きました。

 

病理組織検査の結果は「大動脈小体腺癌」という悪性腫瘍でした。

 

img_0381 心臓

 

今回は大動脈部分に黒く腫瘍と疑われる部分が数か所ありました。

上記の写真は一番大きい部分を指しています。

今回の「心タンポナーデ」の原因は主に腺癌の可能性が高いとの事でした。

 

明らかな異常が確認されない場合は「特発性」と診断する事もありますが、何度も症状を繰り返していた事から初期段階でも「特発性」とは思えず調べてきました。

飼い主様のご厚意で亡くなった後に病理解剖をさせて頂いた事には本当に感謝しています。

 

当院では亡くなった後に詳しい原因追及や発展のため、当院の全て負担で病理解剖をお願いする事がございます。

飼い主様には様々なお考えがあると思いますし、無理にする事はないです。

ただ、「そのコの病気の発見で沢山のコが救える可能性がある」と考えていますので、当院を受診されていてご賛同頂ける方はご相談下さい。

 

 

 

 

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