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院長の症例紹介

診察症例:マルチーズ 11歳 オス 肺水腫 僧帽弁閉鎖不全症 心機能検査

主訴は「朝から呼吸が苦しそう」との事で、他院様からのご紹介でした。

 

来院時にはすでに低体温状態で測定が出来なかったため、まずは呼吸状態の改善と保温から始めるため40%の酸素室管理を行いました。

今回は喀血もあり、無理に検査を進めると症状を悪化させる可能性があります。

そのため来院後2時間後に呼吸状態が若干改善した段階で、レントゲンや血液検査を行いました。

 

img_0047 来院時レントゲン写真

 

肺野は白く、SpO2(血液中にどの程度酸素が含まれているか示す指標)は85%ほどでした。

 

飼い主様より「以前より心臓に雑音があると言われていた」との事でしたので、現状の症状と踏まえて「肺水腫」と診断しました。

その後は利尿薬やドパミンなどの薬剤管理と内部臓器の負担を考え血液検査を行いました。

 

img_0049 入院2日目

 

入院2日目は若干の努力性呼吸ではありましたが、食欲が改善し、心臓薬・利尿薬の内服を開始しました。

 

img_0051 入院3日目

 

入院3日目には肺野も全体的に透過度も増し、呼吸状態も改善したことから退院されました。

その後5日間のご自宅で経過を観察して頂き、ご自宅での状態も安定していたため、当院で心機能検査を行い心臓の状態を詳しく精査しました。

 

img_0052 image

心機能検査時のレントゲン写真

 

レントゲン検査の結果、VHS(心臓の拡大を指標する値)は10.8V、CTR(心胸郭比)は55.2%でした。

VHSは10.5V以上なら心拡大が疑われます。

また心電図では左房拡大を疑う所見が見つかりました。

その結果から超音波検査を行い、心臓の動きや血流・構造などを評価し、「僧帽弁閉鎖不全症」と診断しました。

 

その後はかかりつけ医院に戻り、内服治療を開始して頂きました。

 

初期の心臓病は症状が分かりにくく、雑音だからと言って早期に検査・治療を行う事やご理解頂くのは少ないのが現状です。

ですが、今回の症例の様に症状が重度になってしまった場合は検査する事も難しく、正確な病態評価が困難な場合もあります。

なので心雑音が聴取された段階で検査することで、早期に診断も可能で、治療により病態の進行も遅らせる事が出来ます。

もし心雑音の指摘を受けた場合は、心機能検査をお勧めしたいと思います。

 

 

 

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