診察症例:ネコ(Mixed) 16歳 メス 肥満細胞腫
主訴は「3年前から、耳にしこりのようなモノがある」との事でした。
他院にて内服で経過観察し、一度は縮小したということでしたが、来院時には右耳根部にΦ20mmのしこりを確認しました。
そして腫瘤部分を生検し、顕微鏡検査を行いました。
顕微鏡検査より「肥満細胞腫」が確認されました。
この「肥満細胞腫」は皮膚に出来る事が多く、悪性の皮膚がんの中で最も多いです。
この症状は老齢ネコに多く、転移率が低いものから高いものまで肥満細胞腫でもタイプが分かれます。
また転移率が高い肥満細胞腫ではリンパ節や肝臓や脾臓に転移する事が多いと言われています。
今回は飼い主様の希望により、手術はせずに内服と転移の有無を確認するための検査などをしていくことで、今後の治療計画を立てました。
内服後、再来院時には腫瘤の大きさはΦ10mmまで縮小していました。
また心配していた脾臓や肝臓の転移についてはエコー検査にて確認はされませんでした。
3ヶ月後にはΦ5mm以下だったため、休薬し、以後は経過観察としました。
この時点でもレントゲンとエコー検査を行いましたが、転移らしきものは確認されませんでした。
今回の症例のように高齢の場合は手術をするのもリスクがあるため、外科的治療なのか内科的治療なのかどちらの選択が正しいのかは考えさせられます。
このような場合は、出来るだけ飼い主様のご意向に沿って、治療方法を考えていきたいと思います。